Jevを数独などの制約パズルへ使うなら探索ヒューリスティックとして考える
数独のような制約充足パズルは、JevのゲームAIとしての性質を測る題材として興味深い。正解判定と合法性が完全に決定論的であり、モデルに任せる部分を「どの枝を先に調べるか」へ限定できるからである。
なお、2026年9月21日時点で調べた範囲では、Jevの数独性能を多数問・既知難易度・探索ノード数などで定量評価した一次公開ベンチマークは確認できなかった。したがって、以下の数独部分は既存結果の紹介ではなく、公開されているJevの性質から導く設計案である。
数独でJevにやらせないこと
数独では次はコードで正確にできる。
- 行・列・3×3 blockの重複チェック
- 各空きcellの候補数字列挙
- naked singleなど確定手
- contradiction検出
- backtracking
- 解が完成したかの検証
これをJevへ質問する理由は薄い。
Jevにやらせるなら「枝順」
たとえば候補が {2,5,8} のcellがある場合、Jevへ「どれがこの局面で最も有望か」をChoiceさせる。
Jevの最大確率を即確定してしまうgreedy方式では、一度の誤りで後続が壊れる。しかし確率順にDFSを行えば、
- Jevが2を0.70、5を0.20、8を0.10と評価
- まず2を試す
- contradictionならbacktrack
- 次に5を試す
という形になる。
Jevが完全に正確でなくても、正解枝を平均的に上位へ置けるなら探索ノード数は減る。
測るべき指標は正答率だけではなく、
- expanded nodes
- backtrack回数
- Jev call数
- 正解枝の平均rank
- MRVなど既存heuristicとの比較
- 難易度別の改善率
である。
既存のパズル系公開例
Rubik's Cubeでは、Paolo Rosson氏が「初心者法をコードにし、各段階でJevに次の操作を選ばせる」構成を公開し、94 movesでsolveしたと報告している。本人は22 moves程度のoptimal solutionではなく、人間の初心者法に似た解き方だと説明している。
この例の重要点は、JevがCube全体の探索アルゴリズムを発見したわけではないことにある。長期手順の骨格はコード、局所選択はJevという分業である。
コミュニティには2048、SameGame、Snakeなどのプロジェクトも公開されているが、現時点では統一条件の強さbenchmarkが乏しく、存在そのものと性能評価は分けて扱う必要がある。
パズルでJevを評価する価値
将棋や麻雀では「その手が本当に良かったか」に議論が残る。一方、数独や迷路などは正解・失敗・探索量を完全に測れる。
そのため、Jevの能力を
solver能力ではなく
zero-shot heuristicの品質
として調べるには、制約パズルが非常に適している。
特に、
- random DFS
- MRV
- handcrafted heuristic
- Jev-guided DFS
- Jev確率+MRV
を同じproblem setで比較すれば、Jevの「直感」が本当に探索を短縮しているのかを数値化できる。
関連: JevをゼロショットゲームAIとして見る / ゲームAIでJevの確率をどう使うか / JevをゲームAIで多段利用する設計