Browser Agentは「その場限りの手順」を生成している
一般的なBrowser Agentは、ユーザーの目的だけを受け取り、画面やDOMなどを観察しながら次の操作を逐次決める。この方式は、自然言語SOPを忠実に実行する自然言語SOPを実行時プログラムとして使うとも、あらかじめ固定されたautomation scriptを実行する方式とも異なる。
この違いを捉えるため、Browser Agentを「ephemeral procedure(その場限りの手順)」を生成するシステムと見ると分かりやすい。
典型的なagent loopは、observe → reason/plan → action → observeを繰り返す。クリック、入力、スクロールなどのaction列は結果として一つのprocedureを形成するが、多くの実装ではそのprocedure自体が再利用可能な成果物として残らない。次回の同種タスクでも、agentは再び環境を観察しながら手順を組み立てる。
この性質は柔軟性につながる。未知のサイトやUI変更に対して、固定scriptより適応的に振る舞える可能性がある。反面、同じタスクでもaction trajectoryが毎回揺れ、長いaction chainでは失敗が累積しやすい。
ReUseItはこの問題を実験的に扱っている。同論文の事前評価では、Magentic-UIベースのagentに対し、タスクだけを与えた場合の平均成功率は27.9%、過去の成功traceを加えると61.4%、高水準planを加えると68.1%だった。過去のprocedure情報は大きく効くが、それでも単純な再実行が決定的になるわけではない。ReUseIt本体は成功・失敗trialからcondition checkとfallbackを含むreusable workflowを合成し、15タスクで反復タスク成功率を24.2%から70.1%へ改善した。
Agent Workflow Memory(AWM)も似た問題設定を持つ。過去trajectoryから共通subroutineをworkflowとして誘導し、将来のaction generationをガイドする。Mind2WebとWebArenaでbaselineに対する改善が報告されている。ここでは手順は固定プログラムにはならず、agentが次回も推論するためのmemoryとして残る。
したがってBrowser Agentとworkflow/script automationの境界は「ブラウザを操作するか否か」ではない。重要なのは、探索で得られたprocedureが一回限りのtrajectoryとして消えるのか、workflowとして記憶されるのか、実行可能コードとして固定されるのかである。
この観点からは、Agentの実行履歴から再利用可能なworkflowを抽出するはephemeral procedureを再利用可能なknowledgeへ変える系統、WebwrightはBrowser Agentの成果物を「セッション」から「コード」へ移したはそれを直接codeへ変える系統として位置付けられる。
出典
- Yimeng Liu et al., “ReUseIt: Synthesizing Reusable AI Agent Workflows for Web Automation”, 2025: https://arxiv.org/abs/2510.14308
- Zora Zhiruo Wang et al., “Agent Workflow Memory”, 2024: https://arxiv.org/abs/2409.07429
- Microsoft Research, “Webwright: A Terminal Is All You Need For Web Agents”, 2026: https://www.microsoft.com/en-us/research/articles/webwright-a-terminal-is-all-you-need-for-web-agents/