CH32は「安いRISC-V」ではなく周辺IPを飲み込むMCU群として見ると分かりやすい
CH32を理解するためのノート群 の総論。
事実
WCHはRISC-V MCUだけを作る会社ではなく、USB、USB PD、Ethernet、インターフェースICなどを長く扱っている。
現在のCH32系には、次のような周辺機能をチップ内に統合した製品がある。
- CH32X035: USB Full-Speed、USB PD/Type-C、アナログ周辺、PIOC
- CH32V317: USB High-Speedと10/100M Ethernet PHY
- CH32M007: 高電圧LDO、モーター向けゲートプリドライバ、OPA/PGA/CMP
- CH32M030: 4組のN-MOS half-bridge driver、USB、USB PD/Type-C、電流計測向けアナログ
- CH32H417: USB3、USB2 High-Speed、Ethernet、Display、高速ADCなど
WCHの製品説明でも、用途に応じて自社のIPを組み合わせ、部品点数や設計複雑性を下げる方向が強調されている。
考察
CH32の価格競争力を「RISC-VだからCPUのライセンス料が安い」とだけ説明すると、多くの製品で本質を外す。
例えばX035を使う場合、比較対象は「同じCPU性能のMCU」だけではない。外付けのUSB PHYやPDコントローラまで含めたBOMが比較対象になる。
同様にM030では、MCU価格だけでなく、LDO、ゲートドライバ、電流計測回路、PD関連ICの一部を削除できる可能性がある。
WCHの強みはCPUコア単体よりも、既に持っている周辺IPを低価格MCUへ大量に統合できることにあるように見える。
これはCH32はMCU単価より「何個の外付けICを消せるか」で価格を見るで、MCU単価ではなく外付け部品まで含めて考える。
設計上の示唆
CH32を選定するときは、クロック、Flash、RAMだけで表を作るより、
- 外付けPHYが不要になるか
- 外付けアナログICが不要になるか
- 電源・PD・ゲートドライバを統合できるか
- その統合機能を使うためにSDKや基板設計へどれだけ依存するか
を見る方が実際のコスト差を捉えやすい。